浜松市北区三ヶ日町で、素材と製法にこだわったパンを販売しています。

五代目善治郎の想い


なぜ、この仕事なのか?

松嵜家の長男として生まれた私は、生まれながらにして跡を継ぐことになっている宿命を背負っていました…と言うとカッコよすぎますね。

幼い頃から、お前は五代目だ!入河屋を継ぐんだ!と、言われ続けてきましたので、実は特に何の疑いもなくそのまま五代目として両親と共に仕事をするようになりました。

これはこれであまりにもあっけないお話で、学生時代、周りのみんなは就職氷河期の厳しい世間で一生懸命に就職活動をしていましたが、自分だけあっさりと後継ぎとになるのが決まっていましたから

『オレには就職活動する権利も何もないのか!?』

と、葛藤したことがほんのちょっとだけありました。
しかし、そんな葛藤なんて両親と共に仕事して、すぐに消え去りました。

『この作業をやることで、いいモノができるんだ!』と分かっているから、むしろ楽しいのです。

その上で、私が新しく開発した新技術や工夫が積み重ねられるのも、この仕事のだいご味と言えます。
創業から100年以上も培ってきた入河屋で、代々伝わってきた伝統の製菓技術だけでこの時代を乗り切るのはたやすいことではありません。
その時代ごとの背景があって、新しい時代の技術の導入や、新たな工夫に挑戦しようとすることができるからむしろ楽しいのです。

先代までが積み上げてきた時間の重みに、私が積み上げる新しい時間の重みが、入河屋のお菓子たちをますます光り輝かせるのです。

私は日々考えています。

『今よりももっと良い仕上がりにするにはどうすればいいのか?』
『今よりももっと美味しくするにはどうすればいいか?』

意味のないことは極力そぎ落としつつ、仮に回り道と思われる道でも、それがお客様の喜ぶ笑顔につながる価値のあることなら、とことん追求して新たな味の世界に挑戦するのが、私の使命だと感じています。


仕事で最もうれしい瞬間は?

お店でのおやつタイムです。

元々食べることが大好きで、自分で作ったものを自分で食べたくてしょうがないわけですから、最も幸せな瞬間でもあり、最も緊張する瞬間でもあります。

なぜ緊張するのか?

それは、おやつタイムが同時に新作試食タイムでもあり、昔からある定番商品の場合は、そのお菓子の味や見た目が入河屋品質にしっかり沿っているかどうかを見極める場でもあるからです。

イメージした以上の味を出して、初めて『おいしい』がいただけると私は考えておりますから、イメージ通りの出来では入河屋品質にはまだまだ工夫が足りないということにもなります。

それに、「できあがってみないと分からない」と思われがちですが、できあがりがよろしくないときは作っている時に「ああこれはよくないな」って分かります。

反対に想像以上の場合は、できあがって試食してみた時に『やった!スゴいところに行きついた!!』と感じるのですから、不思議なものですね。

だから、毎日毎日『昨日作ったもの以上のものを作るんだ!』と自己研さんと研究の積み重ねなのです。

それを苦しいと感じる時も全くないわけではありませんが、その裏返しの喜びがあるわけですから、毎日の積み重ねさえもいとおしく感じて仕事をしています。

お客様から『あのお菓子おいしかったよ』の一言をいただけるのは職人冥利に尽きますし、『美味しいお菓子を作ってくれてありがとう』と感謝の言葉まで言われたら、お菓子をお買い上げいただいた上にお礼の言葉までいただけるなんてこれ以上の幸せはないですよね。

私ども入河屋全員でこんな素晴らしい仕事をしているのだと思うと、もっともっと美味しいものを作っておやつタイムも楽しみたいと試作にも力が入るというものです!